優秀なプレーヤーであったからこそ、管理職になったタイミングで直面する権限移譲の難しさ。「任せる・見守る・手と口を出さない」の難しさです。
とある企業のマネージャー研修で、女性マネージャー(3人の子育て中) Aさんがこんな話をしてくれました。2020年春の緊急事態宣言中のことです。
コロナ禍で、ご自身もご主人も在宅勤務。そして、お子さん3人も学校や保育園がお休みとなり、家族5人全員在宅。
そんな中、Aさんは担当するプロジェクトが佳境を向かえ、繁忙期の真っ只中。
家事も育児も本当に手が回らなかった。そこで、ご主人に全てを任せた。
2階で仕事をしていると、1階からご主人の悲痛な声、叫び声が聞こえたが、手も口も出す余裕がなく、放置した。
すると、数日経ったところでご主人の家事力・育児力が格段に上がり、
・こんなにご飯が上手に作れるんだ!
・こんなに上手に兄弟げんかをおさめられるんだ!
と驚かれたとのこと。
「どうせできないだろう」
「そこまで任せるのはかわいそう」
という思い込みが要因で、これまで任せなかっただけでだと気付いたそうです。
自分に余裕があったら、何から何まで口を出してしまうので、今回期せずして「任せきる」をしたおかげで、ご主人の家事・育児スキルがレベルアップしたそうです。
職場でも同じようなことは起こります。
自分の勝手な思い込みが他人(メンバー)のチャンスを奪う可能性がある、という観点で、本質的に同じことは組織でも起こりうる。
「新卒3年目ににこんなタフな仕事は無理だ」
「女性にここまで大きな顧客を担当させるのはかわいそうだ」